越前箪笥と映画の知られざる関係

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「FLOWERS」という映画をご存知でしょうか。最近では「ちはやふる」を撮っている小泉徳宏監督の2010年公開の作品です。

出演は蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子。昭和から平成にいたる三世代、6人の女性たちを描いた物語です。
この6名、制作会社の1つ、資生堂の「TSUBAKI」のCMに出演していました。CMを覚えている方も多いかもしれません。

「FLOWERS」の舞台は北陸地方です。そこで映画のスタッフが古民家の事前調査で福井に来ました。 そして、なぜか親方も調査に同行していました。
今立地区で調査中、たまたま近所の人が通りがかったそうです。その方、古くからの今立の家系ということで、お家を拝見させていただけることに。
たいへんなお屋敷。そしてお座敷には、幅125cm、高さ112cm奥行き58cm。重さ100kgはあろうかという、びっしり金具が付いた、ケヤキ造りで春慶塗の車箪笥が鎮座しておりました。
こんな立派な箪笥、見たことない。もしかしたら、年号などが墨書きしてあるかも。ということで、大人6人がかりでひっくり返すと・・・

「文政二年(1819年) 閏四月ヨリ 七月八日 作之(これをつくる) 福田武右衛門 作」

「かぢや 大町 六右衛門 作」

およそ200年前の越前箪笥だったのです。その後の越前市の調査で福田武右衛門は粟田部町にいたこと、大町という地名も粟田部にあったことが判明しました。

100年以上の歴史がある、というのが国指定の伝統的工芸品に選ばれる条件の1つです。
この車箪笥の発見もあり、平成25年、越前箪笥は晴れて伝統的工芸品の指定を受けることとなったのです。

そんなこと知るよしもなく。公開当時、長野県にいた僕は、仕事帰りに隣町の映画館のレイトショーを観ていたのです。まさか3年後、福井に来るとも思わずに。

今回、ブログを書くにあたり、DVDを借りて観なおしました。
以前は気づかなかったけど確かに北陸地方らしいなぁ。メイクや衣装はもちろん、撮り方をその時代に合わせていて面白い、、、
と観ていくと、終盤、昭和の女性(蒼井優)の花嫁行列のシーンに。箪笥に架けてある布や一族の着物についた家紋に見覚えが、、、丸にカタバミ、、、上坂家の家紋。
偶然?、、、ではなく。
「撮影が終わったら布をもらおうと思って。後で使えるように、そうしてもらったんや。じゃないとせっかく作るのにモッタイナイやろ。」〈親方談〉

花嫁行列で使う小道具もいろいろ親方が作ったそうです。

「FLOWERS」が縁でその後、小泉監督の「ちはやふる」では親方の作った衝立を小道具として貸し出しました。綿谷新が病床の祖父と会話するシーンで使われておりました。

映画好きの僕としては、様々な形で映画に痕跡を残している親方が羨ましい限りです。

いやあ、映画ってほんとうにいいものですね。
それではまた次回をお楽しみにサヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!

花嫁行列の小道具を製作した時の資料
リメイクして今でもしっかり使ってます!

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